さて、漸くこの日を迎えることが出来ました。

早くこの記事が書きたかったのですが、ここまで来るのに随分と時間がかかりました。

ですが、漸くお披露目の日が来ましたのでご紹介します・・・。

遡ること1年5ヶ月ほど前になります。

2010年3月21日(日)、早朝新幹線に乗り、九州へと向かいました。

今回は、お世話になっている蔵元さんの今年のお酒の状況などの確認とご挨拶・・・。

それと、まだまだ勉強不足な部分が多々ありますので、
自分の知らない蔵元さんと出会い、勉強させて貰う目的もありました。

事前に、いくつかの蔵元さんにアポイントを取り、
快く受け入れてくれた蔵元さんへ訪問させて貰いました。

ところが、今回の滞在日数は2日間です。

これで、予定の蔵元さんを回るには、電車移動では無理と言うことで、まずは車を手配し、
自走で蔵回りすることにしました。

博多に到着し、予約していたレンタカーを借り、いざスタート!!

今回の相棒はコイツです!


TOYOTAのVitzです。

結果的に、コイツが、なかなかやる奴でね。

正直、高速走行での足の柔さは仕方ない部分もありますが、よく走るし、燃費ええし、
帰ってからVitz買おうかな・・・と心揺さぶられました(笑)

ただ、いきなりトラブル発生したんですよね。

実は、今回、高速運転が殆どだと分かっていたので、自分のレーダーを持って行ったのですが、
どうもレーダーの調子が悪くて、突然電源が落ちると言うトラブルから旅は始まりました。

ですので、全く知らない道路ですし、ナビ任せで、レーダーは壊れてるし、全然飛ばせない(涙)

しかも、レンタカーってナビの使い方とか全然教えてくれないんですよね。

初めての車で、ナビも使い方分からないけど、兎に角、目的地だけは入力出来たので、
いざ出発!!

ところが、いきなり高速道路の入り口の表示があるにも関わらず、ナビは全然違う道へと誘導・・・?

そのままナビを信じて進むと、どう考えても違う道へ進んでいる・・・。

結局は、もう一度ナビの設定をやり直すと、やはりさっきの高速の入り口が正解!!

と言うことで、再び元の道に戻り、再出発!!

ヤフードームを眺めつつ、海岸線を一路、佐賀県へと向かいます!!

ところが、この日は日曜日で、渋滞に継ぐ、渋滞・・・。

結局は、昼には着きますと言っていたのが、着いたら2時近く・・・(涙)

蔵元さんも随分と心配してくれて、申し訳ないことをしました。

で、この旅の一蔵目にして、今回ご紹介出来ることになりました蔵がこちら!


佐賀県で日本酒「万齢」を醸す、小松酒造さんです。

ご覧のように、蔵の回りは自然がいっぱい・・・


回りは山で囲まれ、近くには川が流れ、本当に静かな所です。


蔵の裏も、木に覆われ、本当に喉かな所に蔵はあります。

そして出迎えてくれたのはこの方!


小松酒造、社長兼杜氏の小松大祐社長です。

見るからに、優しい感じの方でしょ。

もう、そのままの方でした(笑)

そして、まずはご挨拶をし、電話では何度となくお話はさせて貰っていましたが、
今回の訪問の趣旨と、ウチの状況や、これからどうなりたいかなど、
色々と話をさせて頂きました。

社長も、僕の話を確りと聞いて下さり、色々とアドバイスを頂きました。

そしてその中で、話がエキサイトし、社長が徐に白版を取り出し、
お酒造りの話を図に表しながら、教えて貰いました。


それがこの写真です。

すいません、これは内緒の話なので化かせて貰いました(笑)

そして、色々と話をした後、蔵を見せて貰いました。

まず目に飛び込んできたのがこちら!


甑です。


中はこんな感じです。

これは米を蒸す道具なのですが、ご覧のように木製です。

今現在、木製の甑を使っている蔵元さんは非常に少ないと思います。

小松酒造さんは、正直、目新しい道具は何一つ無いと言っても良いぐらい、
昔ながらの道具を生かした酒造りをされています。

それも、これも、大祐社長が蔵に戻る切っ掛けとなった、平成2年からの酒造り休止し・・・。

その後、後は廃業を待つばかりと言う状況が続いたそうです。

ですが、廃業間近の蔵に、酒蔵復興の意を決し、大祐社長は帰ってきました。

ですので、新しい道具を買うとか、そう言う余裕は全く無かったそうです。

ある物を使って、どこまでの物が造れるか・・・そこに懸けるしか無かったそうです。

そこで、「これからの時代はお酒造りを知らないとお酒は売れない!」と言う思いから、
酒類総合研修所に入所し、8ヶ月間、酒造理論などを勉強し、
その冬から島根県の酒蔵さんで蔵人として修行をし、酒造りの全行程を学んだそうです。

そして、平成9年春に蔵に戻り、酒造りの準備を始めます。

そして、平成10年1月に8年ぶりに製造を復活させることが出来たそうです。

ですので、道具を買う余裕などなく、昔ながらの道具を大切に使っているそうです。

古い道具は、手入れも大変で、木製の甑は状態を維持するのが本当に難しいそうです。

更に酒造りの中で最も重要な麹造りの現場も見せて貰いました。


ご覧になってお分かりだと思いますが、室は煉瓦造りで出来ています。

この室も、とても古いもので、管理がとても難しいようでした。


中はビニールで二部屋に分けれていました。

箱麹をメインで使いながら、写真でも見えますが、ビニール製のタライも使うと仰っていました。

最近、タライを使う蔵が増えているそうです。

壁も古いもので、
中は断熱材の代わりに稲が埋まっているそうで、所々隙間から稲が顔を出していました。

これも、昔の知恵でそうなっているそうです。

そして次は小松酒造さんの心臓部でもある槽です。


この三機の槽が並んでいるのは圧巻で、思わず「すげ〜ぇ」と声が出ましたね。

この槽が小松酒造さんの、こだわりでもあります。

そしてこれが面白いんです。


これ、槽の裏側なんですが、どうやって搾るのか疑問だったのですが、
実は、写真に写る奥の大きな石のブロックを手前の油圧式の機械で持ち上げたり、下ろしたりして、
搾っているそうです。

こんなの見たの初めてでした。

ですが、この油圧制の機械が、もう部品が無いそうで、騙し騙し使っているそうですが、
「壊れたらどうしよう・・・」と悩みの種だそうです。

一通り、蔵を見せて貰い、話ももっとしたかったのですが、ここでお別れとなりました。

大祐社長とは、「また僕も大阪に行くから井上君も頑張れよ!」
と声をかけて貰い、蔵を後にしました・・・。

そして、その後、福岡へ戻り、三井の寿さんの蔵へ伺い、専務に蔵を案内して貰い、
その後、夜は専務と久留米で会食し、福岡で一泊・・・。

翌朝、福岡を横断し、大分を北上し、常徳屋酒造場さんに立ち寄り、誠君に蔵を案内して貰い、
その後、今度は大分県を南下し、蔵元さんに寄せて貰い、お話を聞き、蔵を見せて貰い、
今度は大分県を北上し、福岡県を横断して博多に入る予定が、何と何と道に迷うハプニング・・・。

ナビが予定のルートから外れてしまい、しかも通行止めがあり、迂回迂回の連続・・・。

結局、大幅に時間をロスして、高速道路をレーダー壊れたまま大爆走!!

ところが、福岡に入り高速大渋滞・・・。

レンタカーの返却時間が刻々と迫る中、渋滞は緩和されず・・・。

途中で浪速魂丸出しの割り込みまくりで何とか渋滞を突破!!

で、結局返却時間の2分ほど前に到着・・・。


総距離542.5kmで、ガソリン入れたの1回だけ。

流石世界に誇るTOYOTAです。

しかし、最後は、なかなかのドキドキ具合でしたが、本当に楽しい旅になりました。

そして、この年の10月に社長が大阪に来られ、当店にも足を運んでくれました。

また、小松酒造さんのお取引のある酒屋さんと会食なさると言うことで、
僕も社長が「一緒においでよ!」と誘って貰い、楽しい夜の宴を満喫しました。

そして帰り道に、社長は「井上君、春にはもう一度蔵においで、そして一緒に汗かこう!」
と言ってくれました。

社長は、「酒屋さんもお酒のことは分かってないとダメだ!」と言う考え方で、
僕も誘ってくれたことに凄く感動して、「絶対に行きます・・・宜しくお願いします」
と言って分かれました。

ところが、店舗移転、並びにオヤジの急病などが重なり、僕が蔵へ行く余裕などありませんでした。

僕は、この春、もう一度蔵に寄して貰い、お酒造りを学んでから、
小松酒造さんとのお取引をお願いするつもりでした・・・。

ですが、色々あり、この6月に社長にお詫びの電話を入れました。

社長も、こちらの状況を分かってくれ、逆に心配してくれていて、本当にありがたい言葉を頂きました。

そして、社長が「頑張ってみよか!」と言って下さり、
この7月から待望の小松酒造さんとのお取引が始まりました。

この春の約束は、来年の春に実現出来るように、僕も準備しようと思っています。

小松酒造さんは、本当に小さな蔵で、多分、余り見かけることは無いかも知れませんが、
僕は小松社長が大好きですし、この蔵の酒が大好きです。

そんな大好きなお酒を皆さんに知って貰いたいです。

是非、小さな蔵の復活の美酒を満喫して下さい。

宜しくお願いします。


では、そんな佐賀県の万齢の入荷情報はこちら!

井上酒店の今を伝えます!!・・・俺が酒屋を継いだ訳がここに・・・」をご覧下さい。

http://inouesaketen.blog27.fc2.com/blog-entry-36.html

今後とも、小松酒造さんの万齢を宜しくお願いします。

それでは、また。