謎が解けた日・・・ [日記]
さて、ちょっと自分の中で書きたい症候群が発生したので、合間を見て書こうと思います。
と言うことで、先日の10月24日(月)にブルゴーニュワイン試飲会に行ってきました。
この日はセミナーもあったので、久しぶりにセミナーにも参加してきました。
で、今回は本当によい勉強になったので、「是非書かなければ!」と言う衝動に駆られ書いてます。
さて、僕が到着したのは3時過ぎで、既にセミナーが始まっていました。
今回のセミナーは、フランスのブルゴーニュのジュブレ・シャンベルタンに本拠地を構える
ピエール ネジョンのセミナーです。
開場はこんな感じ・・・。
思いの外、沢山の方が居たのでビックリ!
大盛況で、ええことです。
で、セミナーですので、こんな感じにワインを注いでくれます。
今回試飲したワインは左より下記資料をご覧下さい。
①PIERRE NAIGEON MARSANNAY LA RIBAUDE VV 2006
ピエール ネジョン/マルサネ ラ リボード VV
メイカー希望小売価格 ¥3,675
②PIERRE NAIGEON FIXIN LES HERBUES VIEILLES VIGNES 2006
ピエール ネジョン/フィサン レ ゼルビュ VV
メイカー希望小売価格 ¥4,200
③PIERRE NAIGEON GEVREY CHAMBERTIN VV 2006
ピエール ネジョン/ジュヴレ シャンベルタン VV
メイカー希望小売価格 ¥6,720
④PIERRE NAIGEON CHARMES CHAMBERTIN GC VV 2006
ピエール ネジョン/シャルム シャンベルタン GC VV
メイカー希望小売価格 ¥14,700
セミナーでは、ワイナリーの成り立ちや、ワイナリーのこだわり、
どういう思いでワイン造りに携わっているかなど、写真なども交えながら話が聞けました。
ですが、最初の頃は、開場のマイクが小さくて、
僕は一番後ろより1列前に居たので、全然聞こえてませんでしたが途中から改善され良かった。
さて、ピエール ネジョン、当然ですが、試飲会でも試飲したことはあると思うのですが、
こうやってセミナーを聞いてから飲むと色々と気づくことも多くあり、
やはり「こう言う機会は必要だな」と改めて思いました。
現在ピエール ネジョンでは、
偉大なワインになる葡萄作りを出来る限りの介入を抑え自然を尊重し実践しているそうです。
●植物の生育サイクルを尊重
●有機農法の実践(ビオディナミ)し自然を重視
●葡萄の樹の生命力・成長を育む
●葡萄に出来る限りストレスを与えない栽培
●複雑なテロワールを十分に表現し、かつ葡萄本来の個性を十分に引き出す
ブルゴーニュでは樹齢の長い葡萄を切ってしまう傾向にあるそうですが、
ピエール ネジョンでは樹齢が50年を超える物も沢山あるそうです。
何故、樹齢が長い物を切ってしまうかと言うと、
樹齢が長くなれば、葡萄の実を多く付けなくなるそうです。
その為、若い樹を植え、生産量を上げる傾向にあるそうです。
ですが、ピエール ネジョンでは、その真逆を行っている感じですね。
では何故、樹齢の長い樹を使うかと言うと、樹齢が長くなれば、長くなるほど、
土壌深くに根を張り、土壌のミネラル分を吸い上げ、それが葡萄へと影響するからだそうです。
更に、ブルゴーニュは昔から土壌が複雑で、色々な層が入り交じる土地で、
その色々な土壌の特性を葡萄ごとに表現しているため、
52アイテムにも及ぶボトリングをしているそうです。
とは言え、その半分ぐらいは、600本に満たないボトリングで、
更に200本ほどのボトリングもあるそうです。
更に、収穫は全て手詰みで、その収穫した葡萄も小さな籠に入れ持ち帰るそうです。
「こんなに小さな籠を使っているのは、ウチとロマネコンティだけだ」と・・・ここで笑い
要するに、収穫した葡萄の上に直接葡萄を置かないそうです。
これは葡萄を傷めないためだそうです。
まぁ、正直、「そりゃ他には無いわ」と思いました。
もの凄い手間がかかることをやっているのが凄く分かりました。
しかし流石、ロマネコンティですね。
ただ、そう考えるとピエール ネジョンのワインって凄く安く感じるのは僕だけでしょうか?
更に、こだわりの話は続き、兎に角、選果には気を遣っているそうです。
状態が悪い物は全て取り除くそうで、2007年は40%を破棄したそうです。
これは正直、農業と言うことを考えると、もの凄い決断だと思います。
そして醸造は、「何もしない」のが方針だそうです。
要するに、良い葡萄さえ出来れば、葡萄の力で美味しいワインになると言っていました。
酵母は勿論、天然酵母で、櫂入れも殆どしないそうです。
「僕のする仕事は、全て畑で終わってしまう」と言ってました。
醸造は、アシストするだけで、葡萄の力だと言うことですね。
これは、仲村わいん工房の仲村さんと話していた時にも同じことを言ってました。
仲村さん曰く、「ワイン造るのは簡単やで!ええ葡萄が出来たら勝手にええワインになりよる。
そう言う意味での日本酒の醸造はワインの醸造より難しいと思うわ・・・。
ただ、米作りは簡単や。葡萄作りは、ほんまに難しい・・・」
文面にすると「なんてこと言う人や」と思う人も居るかも知れませんが、そうではありません。
勿論、ワインの醸造も簡単ではありません。
ただ、ワイン造りに比べたら、比べものにならないほど葡萄作りは難しいと言うことなんですよね。
凄く重い言葉だと僕は受け止めていました。
それをピエール ネジョンは同じことを言っているな・・・と思いながら聞いていました。
更にこだわりは続き、ワインを醸造し、タンクから樽へ移動させる際も、
ポンプなどで圧力をかけて移動させるのではなく、
重力を利用し、上から下へとワインを移動させるそうです。
この辺も、日本酒の蔵でポンプを使い醪をタンクに移動させる蔵もありませんが、
ポンプなど使わずに、出来るだけストレスを与えずに手作業で行う蔵もあります。
そう言うところに通ずるな・・・と思っていました。
当然ですが、無濾過、無清澄で瓶詰めされ出荷されます。
それと、最初の頃に書いたビオディナミですが、何故ビオディナミを実践しているか・・・。
それは、月と地球の関係にあります。
月と地球の重力バランスや、満月の日に動物の出産が多く行われるとか、
植物が一斉に開花するだとか、月と地球の関係が大きく葡萄にも影響すると言われています。
ですので、満月の夜に葡萄を収穫して、一番葡萄が養分を吸い上げた段階で収穫すると言うのが、
一番力強い葡萄だと言うことに繋がるんだと思います。
本当に、勉強になるセミナーでした。
さて、その後は、ピエール ネジョン氏と共にテイスティングタイムです。
①から順番に利いていきます。
しかし、このお値段のワインは僕自身早々口に出来る物ではないので、本当にありがたいです。
では、ここからは、ワインの情報と簡単なテイスティングノートをご紹介します。
①PIERRE NAIGEON MARSANNAY LA RIBAUDE VV 2006
ピエール ネジョン/マルサネ ラ リボード VV
●クラス:ACマルサネ ●葡萄品種:ピノノアール
◆マルサネの最も南に位置する区画ラ・リボードの葡萄を使用
◆標高300m、石灰岩、粘土質土壌
◆樹齢約40年
◆25%新樽使用 無濾過 無清澄
香りには赤い果実、黒い果実、両方のニュアンスがあるが、やや赤い果実が強く香りも高い。
既に飲み頃を迎えているが、もう少し熟成させた方が個人的には好み!
まだまだ先も楽しめるワイン。
メイカー希望小売価格 ¥3,675
②PIERRE NAIGEON FIXIN LES HERBUES VIEILLES VIGNES 2006
ピエール ネジョン/フィサン レ ゼルビュ VV
●クラス:ACフィサン ●葡萄品種:ピノノアール
◆フィサンの上部、南東向きの畑
◆粘土石灰質土壌
◆樹齢約60年 ギュイヨ仕立て
◆自然酵母でステンレス発酵、樽熟14ヶ月
◆25%新樽使用 無濾過 無清澄
香りは黒い果実が強く感じられ、非常に穏やかで控えめ。
確りとした酸が包み込むようにあり、これから先が楽しみ。
ぬくもりを感じる。
このワインが、僕の中では一番好みの味わいでした。
メイカー希望小売価格 ¥4,200
③PIERRE NAIGEON GEVREY CHAMBERTIN VV 2006
ピエール ネジョン/ジュヴレ シャンベルタン VV
●クラス:ACマルサネ ●葡萄品種:ピノノアール
◆標高330m、東〜北東向きの畑
◆粘土石灰質土壌
◆主にコンブ・ド・ラヴォーに近い区画の葡萄を使用し、
10%程は、マジ・ジャンベルタン前近くの区画の葡萄を使用。
◆樹齢約50年
◆20%新樽使用 無濾過 無清澄
香りは黒い果実が強く、まだまだ若い。
酸も確りあるが、まだまだ飲み頃は先にある。
メイカー希望小売価格 ¥6,720
④PIERRE NAIGEON CHARMES CHAMBERTIN GC VV 2006
ピエール ネジョン/シャルム シャンベルタン GC VV
●クラス:ACマルサネ ●葡萄品種:ピノノアール
◆標高330m、東向きの畑
◆粘土石灰質土壌
◆樹齢約70年
◆100%新樽使用 無濾過 無清澄
香り高く、バニラ香もプンプンで若すぎて全く美味しくない。
タンニンもかなり強く、酸もまだまだ強くあり、口の中がニギニギする。
飲み頃は恐らく10年、20年先で、その先も楽しめそうな感じ。
メイカー希望小売価格 ¥14,700
さて、セミナーも修了し、次は他のブルゴーニュの生産者さんのワインのテイスティングです。
今回ブルゴーニュと言うことで、赤はピノノアール、白はシャルドネが殆どで、一部アリゴテ。
50種類ほどテイスティングしましたが、
殆ど同じ葡萄品種なのに、それぞれに個性があり、とても面白かったです。
さらに、ここでピエール ネジョン氏もご自身のブースに現れたので写真を!
この方が当主のピエール ネジョンさんです。
とても気さくで楽しいおじさんでしたよ。
で、面白かったのが、ピエール ネジョンのブルゴーニュ ピノノアールと言うワインの
ビンテージ違いが07,08,09と参考出展されていたのですが、これは勉強になりました。
もしかしたら単体で09年を飲めば、それなりに美味しいと感じると思うのですが、
07年を飲めば、09年が如何に若く美味しくないか(07年に比べ)が凄く分かります。
08年も07年に比べ若く酸がまだ堅い感じでした。
さて、せっかく目の前にピエール ネジョン氏が居るので色々と質問させて貰いました。
先ずは、セミナーで樽熟成させてワインは自然に樽の中から蒸発すると言う話をしていて、
その蒸発した部分にワインを注ぎ足すと言う話をしていたので、そのことを質問すると、
前のビンテージの同じ物を注ぎ足すそうです。
これは初耳で勉強になりました。
そう言えば、仲村わいん工房の仲村さんが、ヴィンテージも100%そのヴィンテージで無くても、
その年の年号が謳えると言っていたのを思い出した。
更に、何故、自然に蒸発したワインの樽に前のヴィンテージのワインを注ぎ足すかは、
樽熟成をしている間の空気に触れる部分を最小限にするためだそうです。
なるほど!
それと、僕は個人的に樽熟成が嫌いです。
ビオディナミを行う中で、ピュアな葡萄を収穫したいと言うことがあるんですよね。
自然で力強く、ピュアなワイン。
葡萄らしい葡萄を収穫し、それを樽で熟成させ、
わざわざ樽の甘いバニラ香を付ける必要があるのか?と思っていました。
そのことを質問すると、「それは酸を穏やかにするためだ」と言っていました。
要するに、ステンレスの密閉タンクでは、
酸が堅く、いつまでも飲みづらいワインになるんでしょうね。
樽の場合、ある程度酸化もしながら熟成していくので、
酸が丸く角が取れ、丁度良くなると言うことのようです。
実は、僕が凄く疑問に思ってたことは、テイスティングノートでも書きましたが、
④のワインは、正直全然美味しいとは僕の中で言えないワインでした。
実はピエール ネジョン氏も、今は全く飲み頃ではない。
「これを飲みたいと言う人は物好きだ!」と言ってました。
「まぁ、自分の造ったワインによう言うわ」と思いましたが(笑)
要するに、ここで漸く分かったんですよね。
④に関して言えば、最高の区画で素晴らしい力強い葡萄が収穫出来た訳です。
その葡萄をワインにする上で、どうしても時間が必要だと考え、
古樽を使わず、100%新樽で熟成させるんですよね。
なので、今飲めば、樽香がバリバリでバニラ香が強く、全くらしくないワインになっているのですが、
これが何十年と時を経て、樽香がワインに馴染み、バニラ香が消え、葡萄本来の香りが生まれ、
更に酸が丸みを帯び、柔らかいタンニンに変わり、飲み頃を迎えるんですよね。
このことが当主自らの口から聞けたことは、凄く大きな収穫でした。
要するに、樽熟成させて美味しい飲み頃のワインとは、やはり時間が必要なんですよね。
ワインって、とんでもない飲み物ですよね。
で、そう思い、他のワインも飲んでみると、
06年のヴィンテージでも、まだまだ若い物が多いことに気づきました。
自分の中で、樽のバランスが良くてこれは美味しいなと思った物は、
やはり、より古いヴィンテージの物でした。
僕が何故、樽香の強いワインが嫌いかと言うと、
正直、ニューワールドと言われる地域のワインを期待して飲むのですが、
この手のワインは、まだまだ若いワインが多く、
樽香がパキパキで、葡萄なのに葡萄の香りがしなくて、樽のバニラ香ばかりで、
飲めば口の中で樽の甘い味と葡萄の味、2種類の味が分離してするんですよね。
葡萄本来の甘味ではない甘味を凄く感じ、葡萄以外に甘味料でも入れているの?って感じです。
どうも、この辺がダメでね。
ただ、今回で分かったのが、樽香がダメなのではなく、
バランスの悪いワインがダメだと気づきました。
まぁ、世の中には「このバニラ香がええねんやん!」って人も居てると思いますが、
僕には理解出来ません(苦笑)
でも、今回は自分自身がワインに対し疑問に思ってた部分が色々と分かり、
凄く良い試飲会に参加出来たと思っています。
そして最後に、僕がいつも生産者さんとお会いしたら聞く質問をしてみました。
それは、地球温暖化の影響があるかどうかです。
ピエール ネジョン氏は、こう言いました。
「20年30年前に比べ、今は1ヶ月早く葡萄を収穫するようになった。」
「これから先、年間の気温が1度〜2度上昇すれば、葡萄栽培は出来なくなるだろう・・・」
この言葉、本当にとても重い言葉です。
特にピエール ネジョン氏のような、自然と共に生きる生産者さんに取ってみれば、
出来るだけ自然のままに任せているんですから、余計に深刻です。
何か対策を取っていますか?との質問には
「どうしようもないよ・・・神様に任せるだけさ!」って感じの困った顔をして苦笑いしてました。
本当にこれから先、どうなっていくのでしょうか・・・・・。
みんなで本当に地球温暖化に取り組まないと、美味しいワインにも出会えなくなるかも知れません。
最後に、素敵なワインの試飲会を開催して頂いた(株)飯田様、
並びにピエール ネジョンさんに感謝!感謝!!です。
これからも、これぐらいの規模で、試飲会とかセミナーをやって貰えると、
凄く勉強にもなるし、嬉しいんですけどね・・・。
で、開場はスカイビルの36階で高所恐怖症の僕でも感動する眺めの良い場所でした。
と言うことで、長々と書いちゃいましたが、僕の中で今回疑問点が随分と解けて良かったです。
それでも、まだまだ分からないことが沢山あるのも事実です。
日々精進、日々努力し、皆さんに素敵なお酒を提供出来るように頑張ります!
それでは、また!!
と言うことで、先日の10月24日(月)にブルゴーニュワイン試飲会に行ってきました。
この日はセミナーもあったので、久しぶりにセミナーにも参加してきました。
で、今回は本当によい勉強になったので、「是非書かなければ!」と言う衝動に駆られ書いてます。
さて、僕が到着したのは3時過ぎで、既にセミナーが始まっていました。
今回のセミナーは、フランスのブルゴーニュのジュブレ・シャンベルタンに本拠地を構える
ピエール ネジョンのセミナーです。
開場はこんな感じ・・・。
思いの外、沢山の方が居たのでビックリ!
大盛況で、ええことです。
で、セミナーですので、こんな感じにワインを注いでくれます。
今回試飲したワインは左より下記資料をご覧下さい。
①PIERRE NAIGEON MARSANNAY LA RIBAUDE VV 2006
ピエール ネジョン/マルサネ ラ リボード VV
メイカー希望小売価格 ¥3,675
②PIERRE NAIGEON FIXIN LES HERBUES VIEILLES VIGNES 2006
ピエール ネジョン/フィサン レ ゼルビュ VV
メイカー希望小売価格 ¥4,200
③PIERRE NAIGEON GEVREY CHAMBERTIN VV 2006
ピエール ネジョン/ジュヴレ シャンベルタン VV
メイカー希望小売価格 ¥6,720
④PIERRE NAIGEON CHARMES CHAMBERTIN GC VV 2006
ピエール ネジョン/シャルム シャンベルタン GC VV
メイカー希望小売価格 ¥14,700
セミナーでは、ワイナリーの成り立ちや、ワイナリーのこだわり、
どういう思いでワイン造りに携わっているかなど、写真なども交えながら話が聞けました。
ですが、最初の頃は、開場のマイクが小さくて、
僕は一番後ろより1列前に居たので、全然聞こえてませんでしたが途中から改善され良かった。
さて、ピエール ネジョン、当然ですが、試飲会でも試飲したことはあると思うのですが、
こうやってセミナーを聞いてから飲むと色々と気づくことも多くあり、
やはり「こう言う機会は必要だな」と改めて思いました。
現在ピエール ネジョンでは、
偉大なワインになる葡萄作りを出来る限りの介入を抑え自然を尊重し実践しているそうです。
●植物の生育サイクルを尊重
●有機農法の実践(ビオディナミ)し自然を重視
●葡萄の樹の生命力・成長を育む
●葡萄に出来る限りストレスを与えない栽培
●複雑なテロワールを十分に表現し、かつ葡萄本来の個性を十分に引き出す
ブルゴーニュでは樹齢の長い葡萄を切ってしまう傾向にあるそうですが、
ピエール ネジョンでは樹齢が50年を超える物も沢山あるそうです。
何故、樹齢が長い物を切ってしまうかと言うと、
樹齢が長くなれば、葡萄の実を多く付けなくなるそうです。
その為、若い樹を植え、生産量を上げる傾向にあるそうです。
ですが、ピエール ネジョンでは、その真逆を行っている感じですね。
では何故、樹齢の長い樹を使うかと言うと、樹齢が長くなれば、長くなるほど、
土壌深くに根を張り、土壌のミネラル分を吸い上げ、それが葡萄へと影響するからだそうです。
更に、ブルゴーニュは昔から土壌が複雑で、色々な層が入り交じる土地で、
その色々な土壌の特性を葡萄ごとに表現しているため、
52アイテムにも及ぶボトリングをしているそうです。
とは言え、その半分ぐらいは、600本に満たないボトリングで、
更に200本ほどのボトリングもあるそうです。
更に、収穫は全て手詰みで、その収穫した葡萄も小さな籠に入れ持ち帰るそうです。
「こんなに小さな籠を使っているのは、ウチとロマネコンティだけだ」と・・・ここで笑い
要するに、収穫した葡萄の上に直接葡萄を置かないそうです。
これは葡萄を傷めないためだそうです。
まぁ、正直、「そりゃ他には無いわ」と思いました。
もの凄い手間がかかることをやっているのが凄く分かりました。
しかし流石、ロマネコンティですね。
ただ、そう考えるとピエール ネジョンのワインって凄く安く感じるのは僕だけでしょうか?
更に、こだわりの話は続き、兎に角、選果には気を遣っているそうです。
状態が悪い物は全て取り除くそうで、2007年は40%を破棄したそうです。
これは正直、農業と言うことを考えると、もの凄い決断だと思います。
そして醸造は、「何もしない」のが方針だそうです。
要するに、良い葡萄さえ出来れば、葡萄の力で美味しいワインになると言っていました。
酵母は勿論、天然酵母で、櫂入れも殆どしないそうです。
「僕のする仕事は、全て畑で終わってしまう」と言ってました。
醸造は、アシストするだけで、葡萄の力だと言うことですね。
これは、仲村わいん工房の仲村さんと話していた時にも同じことを言ってました。
仲村さん曰く、「ワイン造るのは簡単やで!ええ葡萄が出来たら勝手にええワインになりよる。
そう言う意味での日本酒の醸造はワインの醸造より難しいと思うわ・・・。
ただ、米作りは簡単や。葡萄作りは、ほんまに難しい・・・」
文面にすると「なんてこと言う人や」と思う人も居るかも知れませんが、そうではありません。
勿論、ワインの醸造も簡単ではありません。
ただ、ワイン造りに比べたら、比べものにならないほど葡萄作りは難しいと言うことなんですよね。
凄く重い言葉だと僕は受け止めていました。
それをピエール ネジョンは同じことを言っているな・・・と思いながら聞いていました。
更にこだわりは続き、ワインを醸造し、タンクから樽へ移動させる際も、
ポンプなどで圧力をかけて移動させるのではなく、
重力を利用し、上から下へとワインを移動させるそうです。
この辺も、日本酒の蔵でポンプを使い醪をタンクに移動させる蔵もありませんが、
ポンプなど使わずに、出来るだけストレスを与えずに手作業で行う蔵もあります。
そう言うところに通ずるな・・・と思っていました。
当然ですが、無濾過、無清澄で瓶詰めされ出荷されます。
それと、最初の頃に書いたビオディナミですが、何故ビオディナミを実践しているか・・・。
それは、月と地球の関係にあります。
月と地球の重力バランスや、満月の日に動物の出産が多く行われるとか、
植物が一斉に開花するだとか、月と地球の関係が大きく葡萄にも影響すると言われています。
ですので、満月の夜に葡萄を収穫して、一番葡萄が養分を吸い上げた段階で収穫すると言うのが、
一番力強い葡萄だと言うことに繋がるんだと思います。
本当に、勉強になるセミナーでした。
さて、その後は、ピエール ネジョン氏と共にテイスティングタイムです。
①から順番に利いていきます。
しかし、このお値段のワインは僕自身早々口に出来る物ではないので、本当にありがたいです。
では、ここからは、ワインの情報と簡単なテイスティングノートをご紹介します。
①PIERRE NAIGEON MARSANNAY LA RIBAUDE VV 2006
ピエール ネジョン/マルサネ ラ リボード VV
●クラス:ACマルサネ ●葡萄品種:ピノノアール
◆マルサネの最も南に位置する区画ラ・リボードの葡萄を使用
◆標高300m、石灰岩、粘土質土壌
◆樹齢約40年
◆25%新樽使用 無濾過 無清澄
香りには赤い果実、黒い果実、両方のニュアンスがあるが、やや赤い果実が強く香りも高い。
既に飲み頃を迎えているが、もう少し熟成させた方が個人的には好み!
まだまだ先も楽しめるワイン。
メイカー希望小売価格 ¥3,675
②PIERRE NAIGEON FIXIN LES HERBUES VIEILLES VIGNES 2006
ピエール ネジョン/フィサン レ ゼルビュ VV
●クラス:ACフィサン ●葡萄品種:ピノノアール
◆フィサンの上部、南東向きの畑
◆粘土石灰質土壌
◆樹齢約60年 ギュイヨ仕立て
◆自然酵母でステンレス発酵、樽熟14ヶ月
◆25%新樽使用 無濾過 無清澄
香りは黒い果実が強く感じられ、非常に穏やかで控えめ。
確りとした酸が包み込むようにあり、これから先が楽しみ。
ぬくもりを感じる。
このワインが、僕の中では一番好みの味わいでした。
メイカー希望小売価格 ¥4,200
③PIERRE NAIGEON GEVREY CHAMBERTIN VV 2006
ピエール ネジョン/ジュヴレ シャンベルタン VV
●クラス:ACマルサネ ●葡萄品種:ピノノアール
◆標高330m、東〜北東向きの畑
◆粘土石灰質土壌
◆主にコンブ・ド・ラヴォーに近い区画の葡萄を使用し、
10%程は、マジ・ジャンベルタン前近くの区画の葡萄を使用。
◆樹齢約50年
◆20%新樽使用 無濾過 無清澄
香りは黒い果実が強く、まだまだ若い。
酸も確りあるが、まだまだ飲み頃は先にある。
メイカー希望小売価格 ¥6,720
④PIERRE NAIGEON CHARMES CHAMBERTIN GC VV 2006
ピエール ネジョン/シャルム シャンベルタン GC VV
●クラス:ACマルサネ ●葡萄品種:ピノノアール
◆標高330m、東向きの畑
◆粘土石灰質土壌
◆樹齢約70年
◆100%新樽使用 無濾過 無清澄
香り高く、バニラ香もプンプンで若すぎて全く美味しくない。
タンニンもかなり強く、酸もまだまだ強くあり、口の中がニギニギする。
飲み頃は恐らく10年、20年先で、その先も楽しめそうな感じ。
メイカー希望小売価格 ¥14,700
さて、セミナーも修了し、次は他のブルゴーニュの生産者さんのワインのテイスティングです。
今回ブルゴーニュと言うことで、赤はピノノアール、白はシャルドネが殆どで、一部アリゴテ。
50種類ほどテイスティングしましたが、
殆ど同じ葡萄品種なのに、それぞれに個性があり、とても面白かったです。
さらに、ここでピエール ネジョン氏もご自身のブースに現れたので写真を!
この方が当主のピエール ネジョンさんです。
とても気さくで楽しいおじさんでしたよ。
で、面白かったのが、ピエール ネジョンのブルゴーニュ ピノノアールと言うワインの
ビンテージ違いが07,08,09と参考出展されていたのですが、これは勉強になりました。
もしかしたら単体で09年を飲めば、それなりに美味しいと感じると思うのですが、
07年を飲めば、09年が如何に若く美味しくないか(07年に比べ)が凄く分かります。
08年も07年に比べ若く酸がまだ堅い感じでした。
さて、せっかく目の前にピエール ネジョン氏が居るので色々と質問させて貰いました。
先ずは、セミナーで樽熟成させてワインは自然に樽の中から蒸発すると言う話をしていて、
その蒸発した部分にワインを注ぎ足すと言う話をしていたので、そのことを質問すると、
前のビンテージの同じ物を注ぎ足すそうです。
これは初耳で勉強になりました。
そう言えば、仲村わいん工房の仲村さんが、ヴィンテージも100%そのヴィンテージで無くても、
その年の年号が謳えると言っていたのを思い出した。
更に、何故、自然に蒸発したワインの樽に前のヴィンテージのワインを注ぎ足すかは、
樽熟成をしている間の空気に触れる部分を最小限にするためだそうです。
なるほど!
それと、僕は個人的に樽熟成が嫌いです。
ビオディナミを行う中で、ピュアな葡萄を収穫したいと言うことがあるんですよね。
自然で力強く、ピュアなワイン。
葡萄らしい葡萄を収穫し、それを樽で熟成させ、
わざわざ樽の甘いバニラ香を付ける必要があるのか?と思っていました。
そのことを質問すると、「それは酸を穏やかにするためだ」と言っていました。
要するに、ステンレスの密閉タンクでは、
酸が堅く、いつまでも飲みづらいワインになるんでしょうね。
樽の場合、ある程度酸化もしながら熟成していくので、
酸が丸く角が取れ、丁度良くなると言うことのようです。
実は、僕が凄く疑問に思ってたことは、テイスティングノートでも書きましたが、
④のワインは、正直全然美味しいとは僕の中で言えないワインでした。
実はピエール ネジョン氏も、今は全く飲み頃ではない。
「これを飲みたいと言う人は物好きだ!」と言ってました。
「まぁ、自分の造ったワインによう言うわ」と思いましたが(笑)
要するに、ここで漸く分かったんですよね。
④に関して言えば、最高の区画で素晴らしい力強い葡萄が収穫出来た訳です。
その葡萄をワインにする上で、どうしても時間が必要だと考え、
古樽を使わず、100%新樽で熟成させるんですよね。
なので、今飲めば、樽香がバリバリでバニラ香が強く、全くらしくないワインになっているのですが、
これが何十年と時を経て、樽香がワインに馴染み、バニラ香が消え、葡萄本来の香りが生まれ、
更に酸が丸みを帯び、柔らかいタンニンに変わり、飲み頃を迎えるんですよね。
このことが当主自らの口から聞けたことは、凄く大きな収穫でした。
要するに、樽熟成させて美味しい飲み頃のワインとは、やはり時間が必要なんですよね。
ワインって、とんでもない飲み物ですよね。
で、そう思い、他のワインも飲んでみると、
06年のヴィンテージでも、まだまだ若い物が多いことに気づきました。
自分の中で、樽のバランスが良くてこれは美味しいなと思った物は、
やはり、より古いヴィンテージの物でした。
僕が何故、樽香の強いワインが嫌いかと言うと、
正直、ニューワールドと言われる地域のワインを期待して飲むのですが、
この手のワインは、まだまだ若いワインが多く、
樽香がパキパキで、葡萄なのに葡萄の香りがしなくて、樽のバニラ香ばかりで、
飲めば口の中で樽の甘い味と葡萄の味、2種類の味が分離してするんですよね。
葡萄本来の甘味ではない甘味を凄く感じ、葡萄以外に甘味料でも入れているの?って感じです。
どうも、この辺がダメでね。
ただ、今回で分かったのが、樽香がダメなのではなく、
バランスの悪いワインがダメだと気づきました。
まぁ、世の中には「このバニラ香がええねんやん!」って人も居てると思いますが、
僕には理解出来ません(苦笑)
でも、今回は自分自身がワインに対し疑問に思ってた部分が色々と分かり、
凄く良い試飲会に参加出来たと思っています。
そして最後に、僕がいつも生産者さんとお会いしたら聞く質問をしてみました。
それは、地球温暖化の影響があるかどうかです。
ピエール ネジョン氏は、こう言いました。
「20年30年前に比べ、今は1ヶ月早く葡萄を収穫するようになった。」
「これから先、年間の気温が1度〜2度上昇すれば、葡萄栽培は出来なくなるだろう・・・」
この言葉、本当にとても重い言葉です。
特にピエール ネジョン氏のような、自然と共に生きる生産者さんに取ってみれば、
出来るだけ自然のままに任せているんですから、余計に深刻です。
何か対策を取っていますか?との質問には
「どうしようもないよ・・・神様に任せるだけさ!」って感じの困った顔をして苦笑いしてました。
本当にこれから先、どうなっていくのでしょうか・・・・・。
みんなで本当に地球温暖化に取り組まないと、美味しいワインにも出会えなくなるかも知れません。
最後に、素敵なワインの試飲会を開催して頂いた(株)飯田様、
並びにピエール ネジョンさんに感謝!感謝!!です。
これからも、これぐらいの規模で、試飲会とかセミナーをやって貰えると、
凄く勉強にもなるし、嬉しいんですけどね・・・。
で、開場はスカイビルの36階で高所恐怖症の僕でも感動する眺めの良い場所でした。
と言うことで、長々と書いちゃいましたが、僕の中で今回疑問点が随分と解けて良かったです。
それでも、まだまだ分からないことが沢山あるのも事実です。
日々精進、日々努力し、皆さんに素敵なお酒を提供出来るように頑張ります!
それでは、また!!
お疲れ様です。
とてもいい時間が持てたようですね!!
記事の内容は・・・ ちょっと腰を据えて、何回かじっくり読ませていただかないと正直よく分かりません・・・(汗)
日本酒もそうなのかも知れませんが、「こだわり」と「奥深さ」 「原材料を見る目」 に、「仕上がり具合」が大きく影響しているんですね。
セミナーも、確かにこのくらいの規模が一番良いですね。
by hidechan (2011-10-29 01:05)
hidechanさん、コメントありがとうございました。
はい、今回の試飲会は非常に良い物になりました。
まぁ、記事のことは、僕なりに書きたくなったので、ずらずらと書いちゃいました。何か自分の中で発見が多く、誰かに聞いて欲しかったって感じですかね(笑)
確かに、良い物を造ろうと思えば、根本的なところから見直さないと絶対に成功へは進めませんね。
特に葡萄は、とても大変だと聞いています。
日が昇ってから収穫したのでは糖度が低くなるとか、色々とあるようで、なので収穫は早朝の日が昇らない内にするとか・・・。まぁ、完全に普通の生活とは掛け離れたところで葡萄と向き合わないと行けないので、本当に大変だと思います。
だから、僕等のような販売する側も、確りとお客さんに伝えれるように勉強しないと、本当に美味しい状態でお客さんの口に入らないって事になりかねませんからね。
大変ですが、酒屋って面白い商売だと思います。
頑張ります!!
by 井上酒店 (2011-11-03 00:07)